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マグネシウムと眠りの研究眠りに悩む高齢者の解析で、寝つくまでの時間が短くなった

エビデンス解説 最終更新: 2026-11-05 / からだ事典編集部

紹介する論文

12試験(眠り・不眠・睡眠の質の低さ)+別に3試験(足のつり・むずむず脚など)

成人

Magnesium Supplementation for Sleep in Adults: A Systematic Review of Randomized Controlled Trials. J Diet Suppl 2026

論文の要旨(PubMed)

紹介する論文

寝つくまでの時間が偽薬の人より短い: -17.36分(95%CI -27.27〜-7.44)

不眠の高齢者(レビュー全体は3試験・151人)

Oral magnesium supplementation for insomnia in older adults: a Systematic Review & Meta-Analysis. BMC Complement Med Ther 2021

論文の要旨(PubMed)

この記事の要点

  • 寝つき: 眠りに悩む高齢者の試験をまとめた解析で、飲んだ人は偽薬の人より寝つくまでの時間が17分ほど短くなった
  • 成人の12試験: 一部の成人で、自分で答える眠りの評価が少し良くなる可能性があるとされた
  • 2010年の1つの試験(100人): 睡眠の質の点数は、マグネシウムを飲んだ人も偽薬を飲んだ人も同じだけ良くなり、差はなかった
  • 副作用: 多く飲むと、軟便(下痢)になることがある
この記事は、医師の診察や治療に代わるものではありません。免責事項

寝つき眠りに悩む高齢者で、寝つくまでの時間が短くなった

2021年に、眠りに悩む高齢者を対象にした試験をまとめた解析(メタ解析)が出ています。比べた相手は、有効成分の入っていない偽薬(プラセボ)を飲んだ人です。

マグネシウムを飲んだ人は、偽薬の人より、寝つくまでの時間が17.36分短くなっていました。

寝つくまでの時間の、偽薬の人との差

点が0より左にあるほど、マグネシウムを飲んだ人で寝つくまでの時間が短くなったことを示します。横線は、結果のばらつきの幅(本当の差がありそうな範囲)で、一人ひとりの差の幅ではありません。

寝つくまでの時間-17.36分(幅-27.27〜-7.44)

縦線 = 0分(偽薬の人と同じ)。横線 = ばらつきの幅(95%信頼区間)。出典: PubMed 33865376(数値をもとに当編集部が作図)

眠った時間の合計は、飲んだ人のほうが16分ほど長い計算でしたが、偶然でも出る程度の差で、長くなったとは言えませんでした。

数値の詳細(論文・資料の値)
  • 2021年の高齢者の解析: 寝つき
    寝つくまでの時間が偽薬の人より短い: -17.36分(95%CI -27.27〜-7.44)
  • 高齢の不眠の人の解析の規模(全体)
    3試験・151人(レビュー全体の数。寝つきの解析に入った試験数は抄録に記載なし)
  • 2021年の高齢者の解析: 眠った時間の合計
    総睡眠時間+16.06分(有意差なし)

成人の12試験自分で答える評価が、少し良くなる可能性

2026年には、成人の眠りについて、ほかの成分と組み合わせず、マグネシウムだけを飲んだ試験を集めたレビューが出ました。眠りの解析に入ったのは、12試験です。

試験ごとの違いが大きかったため、数値を1つにまとめる計算はせず、文章で結果を比べています。

一部の成人で、自分で答える眠りの評価に、小さな改善がありうるとされました。

マグネシウムと不安・睡眠の研究を集めた2024年のレビュー(成人)でも、睡眠を調べた研究の半数以上で、睡眠の改善が報告されています。

数値の詳細(論文・資料の値)
  • レビューの対象
    成人に、マグネシウムだけを飲ませた(またはマグネシウムだけの群がある)ランダム化比較試験
  • 検索の範囲
    PubMed/MEDLINE・Scopus・Cochrane CENTRAL・試験の登録2か所を、2026年6月1日まで
  • 主な解析に入った試験
    12試験(眠り・不眠・睡眠の質の低さ)+別に3試験(足のつり・むずむず脚など)
  • まとめ方
    試験のばらつきが大きいため数値で統合せず、文章でまとめた
  • 前向きな面
    一部の成人で、自分で答える一部の評価に小さな改善の可能性
  • 不安と睡眠のレビュー(2024年)
    睡眠の8研究のうち改善5・改善なし2・混在1

この結果をどう読むか測り方によって結果がまちまち

当てはまる人寝つくまでの時間が短くなったのは、眠りに悩む高齢者の解析

寝つくまでの時間が短くなったのは、眠りに悩む高齢者を対象にした解析です。成人の12試験では、自分で答える眠りの評価が少し良くなる可能性が、一部の成人で示されました。

眠れない状態が続いている方は、サプリより先に、医療機関で原因を調べてもらってください。

差の大きさ偽薬の人も、同じだけ良くなった試験がある

2010年に、睡眠の質が低い51〜85歳の100人が、マグネシウムか偽薬を7週飲んだ試験があります。この試験では、どちらの人たちも、睡眠の質の点数が同じだけ良くなりました。

睡眠の質の点数(低いほど良い。偽薬の人も同じ)
飲み始める前10.4
飲み終えたとき6.6

点数は、睡眠の質を自分で答える質問票のもので、低いほど睡眠の質が良いことを示します。マグネシウムを飲んだ人も、偽薬の人も、同じ値でした。
出典: PubMed 21199787(数値をもとに当編集部が作図)

著者は、良くなったのは「飲んでいる」という気持ちの影響(偽薬効果)など、マグネシウムとは別の理由の可能性があるとしています。

確かめ方自分で答える評価と機器の測定で、結果が分かれた

12試験のレビューでは、自分で答える評価、脳波、活動量計、市販のウェアラブル端末など、測り方によって結果がまちまちでした。

根拠の確かさは低い〜とても低いと判定され、著者は、ふだんの不眠の治療として勧める根拠はまだ無いとしています。よく設計された大きな試験が求められています。

マグネシウムと眠りの研究で報告された結果
寝つくまでの時間(高齢者の解析)
結果-17.36分
読み方偽薬の人より短くなった
眠った時間の合計(高齢者の解析)
結果+16.06分
読み方偶然でも出る程度の差で、長くなったとは言えない
睡眠の質の点数(偽薬と比べた試験)
結果10.4→6.6
読み方偽薬の人と差がなかった(どちらも同じだけ良くなった)
成人の12試験の確かさ
結果低い〜とても低い
読み方測り方によって結果がまちまち

出典: PubMed 33865376・21199787・42661485(数値をもとに当編集部が作図)

数値の詳細(論文・資料の値)
  • 試験の違い
    対象・マグネシウムの形・マグネシウムとしての量・期間・測り方が大きく違った
  • 結果がまちまちだった測り方
    自分で答える評価・脳波・研究用の活動量計・市販のウェアラブル・体の指標
  • 根拠の確かさ
    低い〜とても低い(GRADE)
  • 著者の結論
    不眠の通常の治療としては支持しない
  • 今後の課題
    よく設計された十分な規模の試験が必要
  • 2021年の高齢者の解析: 試験の質
    3試験とも偏りのリスクは中〜高、確かさは低い〜とても低い
  • 2010年の試験: 偽薬でも改善
    睡眠の質の点数(PSQI、低いほど良い)10.4→6.6。マグネシウムでも偽薬でも同じ
  • 2010年の試験の量と期間
    1日320mg(マグネシウムとして、クエン酸マグネシウム)・7週。100人(完了96人)
  • 2010年の試験: 偽薬の効果の可能性
    睡眠の質をよくしたのは別の要因で、偽薬の効果の可能性

試験の条件と副作用飲んだ量は試験ごとに違う。多く飲むと軟便になることがある

試験で飲んだ量は、試験ごとに違います。2010年の試験の量は、マグネシウムとして1日320mgでした。

高齢者の解析の要旨には、試験で飲んだ量がマグネシウムとして何mgだったかは書かれていません。

医師・薬剤師に相談してほしい方
  • 眠れない状態が続いている方
  • 腎臓の病気がある方
  • 薬を飲んでいる方(甲状腺の薬など、一緒に飲むと薬の吸収が下がることがあります)、妊娠中・授乳中の方

サプリメントは、病気の治療や予防に使うものではありません。

副作用多く飲むと、軟便(下痢)になることがある

栄養機能食品のマグネシウムには、多く飲むと軟便(下痢)になることがある、という注意を書くことが決められています。

サプリなど、通常の食品以外からとる量の上限(耐容上限量)は、成人で350mg/日です。

腎臓の働きが落ちた人は、血液中のマグネシウムが高くなりすぎないよう、注意が必要とされています。

数値の詳細(論文・資料の値)
  • 栄養機能食品の注意の文言
    マグネシウムを多量に摂取すると軟便(下痢)になることがあります
  • マグネシウムの耐容上限量(2025年版)
    通常の食品以外からの摂取量で、成人350mg/日・小児5mg/kg体重/日。通常の食品からの摂取には設定しない
  • 腎臓の悪い人のリスク(総説、2023年)
    腎機能が低下した人・マグネシウムを含む薬やサプリを使う人で高マグネシウム血症に注意
  • 甲状腺の薬(レボチロキシン)
    アスパラギン酸マグネシウムで吸収が12%低下(GMR 0.88)。クエン酸では7%低下(有意差なし)

まとめ

  • 眠りに悩む高齢者の解析では、飲んだ人は寝つくまでの時間が短くなった
  • 成人の試験全体では、測り方によって結果がまちまち。眠れない状態が続く方は、まず医療機関で原因を調べてもらう
  • 腎臓の病気がある方、薬を飲んでいる方は、飲む前に医師に相談する

次に読むもの

この記事で使った数値の一覧(22件)
  1. 主な解析に入った試験
    12試験(眠り・不眠・睡眠の質の低さ)+別に3試験(足のつり・むずむず脚など)
    対象: 成人
    眠りの主な解析に入ったのは12試験。足のつりやむずむず脚による睡眠の乱れの3試験は別に扱った。[出典1]
  2. 2021年の高齢者の解析: 寝つき
    寝つくまでの時間が偽薬の人より短い: -17.36分(95%CI -27.27〜-7.44)
    対象: 不眠の高齢者(レビュー全体は3試験・151人)
    高齢の不眠の人の試験をまとめると、寝つくまでの時間が17.36分短くなった。[出典2]
  3. 2021年の高齢者の解析: 眠った時間の合計
    総睡眠時間+16.06分(有意差なし)
    対象: 不眠の高齢者(レビュー全体は3試験・151人)
    眠った時間の合計は、飲んだ人のほうが16分ほど長い計算だったが、偶然でも出る程度の差で、長くなったとは言えなかった。[出典2]
  4. 不安と睡眠のレビュー(2024年)
    睡眠の8研究のうち改善5・改善なし2・混在1
    対象: 成人。15研究(うち睡眠8)
    不安と睡眠のレビューでは、睡眠を調べた8研究のうち5研究で改善が報告された。[出典3]
  5. レビューの対象
    成人に、マグネシウムだけを飲ませた(またはマグネシウムだけの群がある)ランダム化比較試験
    対象: 成人
    このレビューは、マグネシウムだけを飲ませた試験に絞って、成人の眠りへの効果を調べた。[出典1]
  6. 検索の範囲
    PubMed/MEDLINE・Scopus・Cochrane CENTRAL・試験の登録2か所を、2026年6月1日まで
    対象: —
    5つのデータベース・登録を、2026年6月1日まで検索した。[出典1]
  7. まとめ方
    試験のばらつきが大きいため数値で統合せず、文章でまとめた
    対象: 12試験
    試験の違いが大きいため、数値を1つにまとめる解析はせず、文章で結果を比べた。[出典1]
  8. 試験の違い
    対象・マグネシウムの形・マグネシウムとしての量・期間・測り方が大きく違った
    対象: 12試験
    対象の人、マグネシウムの形、量、期間、測り方が試験ごとに大きく違った。[出典1]
  9. 結果がまちまちだった測り方
    自分で答える評価・脳波・研究用の活動量計・市販のウェアラブル・体の指標
    対象: 12試験
    自分で答える評価、脳波、活動量計、市販のウェアラブル端末などで、測り方ごとに結果がまちまちだった。[出典1]
  10. 前向きな面
    一部の成人で、自分で答える一部の評価に小さな改善の可能性
    対象: 成人
    一部の人では、自分で答える眠りの評価に小さな改善がありうるとされた。[出典1]
  11. 根拠の確かさ
    低い〜とても低い(GRADE)
    対象: 12試験
    根拠の確かさは、低い〜とても低いと判定された。[出典1]
  12. 著者の結論
    不眠の通常の治療としては支持しない
    対象: 成人
    著者は、いまの根拠では、不眠のふだんの治療としてマグネシウムを勧められないとした。[出典1]
  13. 今後の課題
    よく設計された十分な規模の試験が必要
    対象: —
    ふだんの推奨をするには、よく設計された大きな試験が必要とされた。[出典1]
  14. 2021年の高齢者の解析: 試験の質
    3試験とも偏りのリスクは中〜高、確かさは低い〜とても低い
    対象: 不眠の高齢者
    3試験とも偏りのリスクが中〜高く、根拠の確かさは低い〜とても低いとされた。[出典2]
  15. 2010年の試験: 偽薬でも改善
    睡眠の質の点数(PSQI、低いほど良い)10.4→6.6。マグネシウムでも偽薬でも同じ
    対象: 睡眠の質が低い51〜85歳の100人(完了96人)
    1日320mgを7週飲んだ試験では、マグネシウムの群も偽薬の群も同じだけ睡眠の質の点数がよくなった。[出典4]
  16. 2010年の試験: 偽薬の効果の可能性
    睡眠の質をよくしたのは別の要因で、偽薬の効果の可能性
    対象: 睡眠の質が低い51〜85歳
    著者は、睡眠の質がよくなったのは偽薬の効果など別の要因の可能性があるとした。[出典4]
  17. 栄養機能食品の注意の文言
    マグネシウムを多量に摂取すると軟便(下痢)になることがあります
    対象: 栄養機能食品
    栄養機能食品には、多くとると軟便(下痢)になることがあるという注意を書くことが義務づけられている。[出典5]
  18. マグネシウムの耐容上限量(2025年版)
    通常の食品以外からの摂取量で、成人350mg/日・小児5mg/kg体重/日。通常の食品からの摂取には設定しない
    対象: 成人・小児
    サプリなど通常の食品以外からとる量の上限は、成人で1日350mgとされた。食品からとる分には上限は設けられていない。[出典6]
  19. 腎臓の悪い人のリスク(総説、2023年)
    腎機能が低下した人・マグネシウムを含む薬やサプリを使う人で高マグネシウム血症に注意
    対象: 腎機能が低下した人など
    腎臓の働きが落ちた人や、マグネシウムを含む薬・サプリを使う人は、高マグネシウム血症を防ぐことが大切とされた。[出典7]
  20. 甲状腺の薬(レボチロキシン)
    アスパラギン酸マグネシウムで吸収が12%低下(GMR 0.88)。クエン酸では7%低下(有意差なし)
    対象: 健康な15人
    甲状腺の薬と一緒に飲むと、薬の吸収が下がった。著者は時間をずらして飲むよう勧めた。[出典8]
  21. 高齢の不眠の人の解析の規模(全体)
    3試験・151人(レビュー全体の数。寝つきの解析に入った試験数は抄録に記載なし)
    対象: 不眠の高齢者(3か国)
    不眠の高齢者のレビューに入ったのは、全体で3試験・151人。[出典2]
  22. 2010年の試験の量と期間
    1日320mg(マグネシウムとして、クエン酸マグネシウム)・7週。100人(完了96人)
    対象: 睡眠の質が低い51〜85歳の100人(米国)
    睡眠の質が低い51〜85歳の100人が、マグネシウムとして1日320mg、または偽薬を7週飲んだ。[出典4]

根拠一覧

論文・資料の一覧(8件)
  1. Magnesium Supplementation for Sleep in Adults: A Systematic Review of Randomized Controlled Trials. J Diet Suppl 2026 — 原典(取得日:2026-11-05)
  2. Oral magnesium supplementation for insomnia in older adults: a Systematic Review & Meta-Analysis. BMC Complement Med Ther 2021 — 原典(取得日:2026-11-05)
  3. Examining the Effects of Supplemental Magnesium on Self-Reported Anxiety and Sleep Quality: A Systematic Review. Cureus 2024 — 原典(取得日:2026-11-05)
  4. Magnesium supplementation improves indicators of low magnesium status and inflammatory stress in adults older than 51 years with poor quality sleep. Magnes Res 2010 — 原典(取得日:2026-11-05)
  5. 食品表示基準(平成27年内閣府令第10号)別表第十一(栄養機能食品のマグネシウム)・別表第十(栄養素等表示基準値) — 原典(取得日:2026-11-05)
  6. 日本人の食事摂取基準(2025年版)の策定ポイント(策定検討会報告書 マグネシウムの章 p.243〜285 の要約スライド、スライド p.110〜111) — 原典(取得日:2026-11-05)
  7. Hypermagnesemia in Clinical Practice. Medicina (Kaunas) 2023 — 原典(取得日:2026-11-05)
  8. Single Center, Open-Label, Randomized Crossover Trial on Drug-Drug Interactions of Levothyroxine/Magnesium-Citrate and Levothyroxine/Magnesium-Aspartate in Healthy Subjects-The ThyroMag Trial. Clin Transl Sci 2025 — 原典(取得日:2026-11-05)

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