亜鉛と風邪の解析引いた後にとると、期間が2日ほど短い可能性(トローチ中心の試験)
紹介する論文
34試験・8,526人
子どもと大人
Zinc for prevention and treatment of the common cold. Cochrane Database Syst Rev 2024
論文の要旨(PubMed)この記事の要点
- 引いた後: 風邪の期間が平均2.37日短い可能性がある
- 予防: 風邪を引く人の割合はほとんど変わらないかもしれない
- 引いた後の試験の多くはトローチで、市販の錠剤とは飲み方が違う
- 引いた後に飲むと、味の不快感などの重くない副作用は増える
引いた後風邪の期間が2日ほど短い可能性
亜鉛と風邪の試験を、34試験・8,526人まとめた解析が、2024年にコクラン(医学研究の国際的なまとめ)から出ました。
風邪を引いた後に亜鉛を飲むと、期間が平均2.37日短い可能性があります。健康な成人の試験を見た別のレビューでも、2.25日短い可能性が示されています。
数値の詳細(論文・資料の値)
- Cochraneの規模
34試験・8,526人 - 風邪の期間と亜鉛(Cochrane 2024)
2.37日短い(95%CI -4.21〜-0.53) - 健康な成人の風邪の期間
2.25日短い(95%CI -3.39〜-1.12)
予防引く人の割合は、ほとんど変わらないかもしれない
ふだんから予防として飲んでも、風邪を引く人の割合はほとんど変わらないかもしれません。亜鉛の人とプラセボの人の比は0.93で、差ははっきりしませんでした。
著者は、予防の効果は小さいか無いかもしれないが、引いた後の期間は短くなるかもしれないと結論しています。
数値の詳細(論文・資料の値)
- 風邪の予防と亜鉛(Cochrane 2024)
比0.93(95%CI 0.85-1.01) - Cochraneの結論
予防の効果は小さいか無いかもしれないが、引いた後の期間は短くなるかもしれない。重くない副作用は増える
この結果をどう読むか試験はトローチが中心
飲み方と量
引いた後に使った試験では、治療の試験19件のうち14件が、口の中で溶かすトローチでした。グルコン酸亜鉛のトローチは1日45〜276mgを、4.5〜21日使っています。
市販の亜鉛サプリは、飲み込む錠剤やカプセルが中心で、1日の量も違います。同じ結果になるとは言えません。
確かさ
根拠の確かさは低いと評価されています。試験ごとの飲み方と測り方の幅が大きく、結果もばらついています。症状の重さには、はっきりした差がありませんでした。
いずれも、亜鉛とプラセボを比べた結果です。
出典: PubMed 38719213(数値をもとに当編集部が作図)
数値の詳細(論文・資料の値)
- 試験で使われた形
34試験のうち17試験がトローチ(口の中で溶かす) - 治療の試験のトローチ
治療の試験19件のうち14件がトローチ - トローチの量
グルコン酸亜鉛で1日45〜276mg・4.5〜21日 - 風邪の症状の重さ(Cochrane 2024)
はっきりした差なし(SMD -0.03、95%CI -0.56〜0.50) - 試験のばらつき
方法と測り方に大きな幅があった
副作用重くない副作用は増えた
引いた後に飲んだ試験では、味の不快感などの重くない副作用が、プラセボより多くなっていました。比は1.34です。
亜鉛の1日の量の上限(耐容上限量)は、女性で35mg/日です。短い期間でも、量は確かめてください。
数値の詳細(論文・資料の値)
- 引いたときの副作用(Cochrane 2024)
比1.34(95%CI 1.15-1.55) - 亜鉛の耐容上限量(2025年版)
男性: 18〜29歳40mg/日・30〜74歳45mg/日・75歳以上40mg/日 / 女性: 35mg/日
- 病気で治療を受けている方、服用中の薬がある方
- 妊娠中・授乳中の方
- 高い熱や息苦しさがある方、風邪の症状が長引いている方
サプリメントは、病気の治療や予防に使うものではありません。
まとめ
- 亜鉛を引いた後に飲むと、風邪の期間が短い可能性がある
- 治療中の方、服用中の薬がある方は、飲む前に医師に相談する
次に読むもの
この記事で使った数値の一覧(12件)
- Cochraneの規模34試験・8,526人対象: 子どもと大人予防15件・治療19件の34試験・8,526人をまとめた。[出典1]
- 風邪の期間と亜鉛(Cochrane 2024)2.37日短い(95%CI -4.21〜-0.53)対象: 風邪を引いた後に亜鉛を飲んだ人。8試験・972人引いた後に飲むと、風邪の期間がプラセボより平均2.37日短い可能性がある(確かさは低い)。[出典1]
- 健康な成人の風邪の期間2.25日短い(95%CI -3.39〜-1.12)対象: 健康な成人(亜鉛の試験10件を含むレビュー)健康な成人の試験をまとめたレビューでも、風邪の期間が2.25日短かった。[出典2]
- 風邪の予防と亜鉛(Cochrane 2024)比0.93(95%CI 0.85-1.01)対象: 予防として亜鉛を飲んだ人。9試験予防として飲んでも、風邪を引く人の割合はほとんど変わらないかもしれない。[出典1]
- 試験で使われた形34試験のうち17試験がトローチ(口の中で溶かす)対象: Cochrane 2024半数の試験がトローチで亜鉛を与えていた。[出典1]
- トローチの量グルコン酸亜鉛で1日45〜276mg・4.5〜21日対象: Cochrane 2024グルコン酸亜鉛のトローチは1日45〜276mgを4.5〜21日。[出典1]
- 引いたときの副作用(Cochrane 2024)比1.34(95%CI 1.15-1.55)対象: 風邪の治療で亜鉛を飲んだ人。16試験・2,084人引いた後に飲むと、重くない副作用(味の不快感など)が増える。[出典1]
- 風邪の症状の重さ(Cochrane 2024)はっきりした差なし(SMD -0.03、95%CI -0.56〜0.50)対象: 2試験・261人症状の重さの差は、はっきりしなかった。[出典1]
- Cochraneの結論予防の効果は小さいか無いかもしれないが、引いた後の期間は短くなるかもしれない。重くない副作用は増える対象: Cochrane 2024著者は、予防の効果は小さいかもしれないが、引いた後の期間は短くなるかもしれないと結論した。[出典1]
- 試験のばらつき方法と測り方に大きな幅があった対象: Cochrane 2024著者は、飲み方と測り方の幅が大きいことに注意を促した。[出典1]
- 亜鉛の耐容上限量(2025年版)男性: 18〜29歳40mg/日・30〜74歳45mg/日・75歳以上40mg/日 / 女性: 35mg/日対象: 18歳以上耐容上限量は、女性が1日35mg、男性が1日40〜45mgとされた。[出典3]
- 治療の試験のトローチ治療の試験19件のうち14件がトローチ対象: Cochrane 2024引いた後に飲んだ治療の試験では、19件のうち14件がトローチだった。[出典1]
根拠一覧
論文・資料の一覧(3件)
- Zinc for prevention and treatment of the common cold. Cochrane Database Syst Rev 2024 — 原典(取得日:2026-11-01)
- Zinc Supplementation Reduces Common Cold Duration among Healthy Adults: A Systematic Review of Randomized Controlled Trials with Micronutrients Supplementation. Am J Trop Med Hyg 2020 — 原典(取得日:2026-11-01)
- 日本人の食事摂取基準(2025年版)の策定ポイント(策定検討会報告書 亜鉛の章の要約スライド、スライド p.117〜119) — 原典(取得日:2026-11-01)
数値の取り方・記事の作り方は 方法論ページ に公開しています。