ビタミンDと風邪の解析毎日飲んだ試験をまとめると、風邪などの感染症が少なかった
紹介する論文
Lancet Diabetes & Endocrinology・2025年・系統的レビュー・メタ解析・40試験・61,589人
ビタミンDと偽薬を比べたランダム化比較試験を集めた解析(2021年の解析に、その後の6試験を加えた更新版)
Vitamin D supplementation to prevent acute respiratory infections: systematic review and meta-analysis of stratified aggregate data. Lancet Diabetes Endocrinol 2025;13(4):307-320
論文の要旨(PubMed)紹介する論文
Lancet Diabetes & Endocrinology・2021年・系統的レビュー・メタ解析・43試験・48,488人
ビタミンDと偽薬を比べた二重盲検ランダム化試験を集めた解析(0〜95歳)
Vitamin D supplementation to prevent acute respiratory infections: a systematic review and meta-analysis of aggregate data from randomised controlled trials. Lancet Diabetes Endocrinol 2021
論文の要旨(PubMed)この記事の要点
- 毎日: 毎日飲んだ試験をまとめると、風邪などの感染症にかかった人が少なかった
- 子ども: 1〜15歳を対象にした試験でも少なかった
- 飲み方: 週1回や月1回にまとめて飲んだ試験では差がなく、合わせた全体では差があるとは言えなかった
- 差の大きさは、かかった人の割合で見ると小さい。重い有害事象は偽薬と差がなかった
毎日飲んだ試験風邪などの感染症が少なかった
風邪などの感染症とビタミンDの試験をまとめた解析が、2025年に更新されました。2021年に同じ研究グループが出した解析に、その後の試験を加えたものです。
対象は、風邪や気管支炎など、空気の通り道の感染症(急性呼吸器感染症)です。
試験を飲み方で分けると、毎日飲んだ試験では、感染症にかかった人が少なかったと報告されています。1〜15歳を対象にした試験でも、少ない結果でした。
点が1より左にあるほど、飲んだ人で感染症が少なかったことを示します。横線は、結果のばらつきの幅です。
縦線 = 1倍(偽薬を飲んだ人と同じ)。横線 = ばらつきの幅(95%信頼区間)。偽薬を飲んだ人を1とした比です。
出典: PubMed 39993397(数値をもとに当編集部が作図)
週1回や、月1回か、それより間を空けてまとめて飲んだ試験では、差があるとは言えませんでした。
数値の詳細(論文・資料の値)
- 飲み方の間隔別
毎日 OR 0.84(0.73-0.97、21試験・21,552人)/ 週1回0.97(0.88-1.06、7試験・12,789人)/ 月1回〜3か月に1回0.98(0.93-1.03、12試験・27,248人)/ 週1回以下の試験の参加者 計40,037人・全体の約3分の2(当編集部の計算) - 1日あたりの量別
400〜1,000IU OR 0.70(0.55-0.89、10試験・2,305人)/400IU未満0.76(0.41-1.41)/1,001〜2,000IU 0.97(0.92-1.01)/2,000IU超1.05(0.84-1.31) - 年齢別
1〜15歳 OR 0.74(0.60-0.92、16試験・11,944人)/1歳未満0.95(0.82-1.10)/16〜64歳0.95(0.86-1.05)/65歳以上0.97(0.92-1.02)
2021年との比較毎日飲んだ試験の結果は、更新後も残った
毎日飲んだ試験では、2021年の解析でも2025年の更新版でも、感染症にかかった人が少なかったと報告されています。
縦線 = 1倍(偽薬を飲んだ人と同じ)。横線 = ばらつきの幅(95%信頼区間)。出典: PubMed 33798465・39993397(数値をもとに当編集部が作図)
変わったのは、飲み方を分けない全体の結果です。2025年は、ばらつきの幅が1にかかりました。
全体の参加者の約3分の2は、週1回や月1回にまとめて飲んだ試験の参加者です(当編集部の計算)。差の出なかった飲み方が、全体の多くを占めていました。
「差があるとは言えない」は、幅が1をまたぎ、偶然の差と区別できないという意味です。効果が無いと確かめられたという意味ではありません。
数値の詳細(論文・資料の値)
- 急性呼吸器感染症(全体・2025年の更新)
OR 0.94(95%CI 0.88-1.00、p=0.057、40試験・61,589人) - 2021年の解析との違い
点推定0.94(2021年は0.92)/95%CIが1.00をまたぐようになった - 小さな試験の偏り(ファンネルプロット)
左側の非対称(Egger検定 p=0.0020) - 新たに加わった大きな試験(Camargo 2023)
米国・健康な高齢者15,804人・ビタミンD 50μg毎日・1年・偽薬対照(オメガ3との2×2要因試験) - 急性呼吸器感染症(2021年のメタ解析)
全体 OR 0.92(95%CI 0.86-0.99、37試験)/ 毎日飲む OR 0.78(0.65-0.94、19試験)/1日400〜1,000IU OR 0.70(0.55-0.89、10試験)/1〜15歳 OR 0.71(0.57-0.90、15試験) - 別のモデル・感度分析
固定効果モデル OR 0.96(0.93-1.00、p=0.047)/ 感染症を副次項目とした19試験を除くと0.90(0.79-1.02、21試験・9,975人)
この結果をどう読むか差が出たのは、毎日飲んだ試験と子どもの試験
当てはまる人毎日飲んだ試験と、1〜15歳の試験
感染症が少なかったのは、毎日飲んだ試験と、1〜15歳を対象にした試験でした。65歳以上の人では、差があるとは言えませんでした。
もともとの血中濃度(血液中のビタミンDの量)で分けると、どの区分でも差があるとは言えませんでした。分け方の間で効果が違うことも、統計では確かめられていません。
差の大きさかかった人の割合の差は小さい
2021年の解析では、感染症にかかった人は、飲んだ人で61.3%、偽薬の人で62.3%でした。
差は1.0ポイントです(当編集部の計算)。2025年の解析では、この割合は報告されていません。
数値の詳細(論文・資料の値)
- 開始時の血中濃度別
25nmol/L未満 OR 0.98(0.80-1.20、22試験・3,806人)/25〜49.9 1.03(0.94-1.13)/50〜74.9 0.90(0.80-1.02)/75以上0.97(0.87-1.07) - サブグループの違いの検定(交互作用)
飲み方の間隔・量・期間・年齢のいずれも、交互作用は有意でない - 年齢別
1〜15歳 OR 0.74(0.60-0.92、16試験・11,944人)/1歳未満0.95(0.82-1.10)/16〜64歳0.95(0.86-1.05)/65歳以上0.97(0.92-1.02) - 感染症にかかった人の割合(2021年の解析・全体)
飲んだ群61.3%(14,332/23,364人)/ 偽薬群62.3%(14,217/22,802人)/ 差1.0ポイント(当編集部の計算)
試験の条件と副作用重い有害事象は差がなかった
まとめた試験は40試験、参加者は61,589人です。赤ちゃんから高齢者までが含まれていました。
差が出たのは、1日量に直して400〜1,000IUで行われた試験でした。それより多い量・少ない量の試験では、差があるとは言えませんでした。
新しく加わった最大の試験は、米国の健康な高齢者15,804人の試験です。ビタミンDを毎日50μg、1年飲んでいました。
数値の詳細(論文・資料の値)
- 論文の基本情報(論文カード用)
Lancet Diabetes & Endocrinology・2025年・系統的レビュー・メタ解析・40試験・61,589人 - 1日あたりの量別
400〜1,000IU OR 0.70(0.55-0.89、10試験・2,305人)/400IU未満0.76(0.41-1.41)/1,001〜2,000IU 0.97(0.92-1.01)/2,000IU超1.05(0.84-1.31) - 新たに加わった大きな試験(Camargo 2023)
米国・健康な高齢者15,804人・ビタミンD 50μg毎日・1年・偽薬対照(オメガ3との2×2要因試験)
- 熱やせきが続いている方
- 腎臓結石になったことがある、または血液中のカルシウム値が高いと言われた方
- 服用中の薬がある方、妊娠中・授乳中の方
サプリメントは、病気の治療や予防に使うものではありません。
副作用重い有害事象は、偽薬と同じくらい
重い有害事象が1回以上あった人は、飲んだ人と偽薬の人で差がありませんでした。偽薬の人を1とすると0.96倍です。
長く飲むと血液中のカルシウム値が高くなる人が増えるという報告は、ビタミンDサプリの効果にまとめています。
数値の詳細(論文・資料の値)
- 重い有害事象
OR 0.96(0.90-1.04、38試験)
まとめ
- 感染症が少なかったのは、毎日飲んだ試験と、1〜15歳を対象にした試験。週1回や月1回にまとめて飲んだ試験では差がなかった
- 差の大きさは、かかった人の割合で見ると小さい。重い有害事象は偽薬と差がなかった
次に読むもの
この記事で使った数値の一覧(15件)
- 論文の基本情報(論文カード用)Lancet Diabetes & Endocrinology・2025年・系統的レビュー・メタ解析・40試験・61,589人対象: ビタミンDと偽薬を比べたランダム化比較試験を集めた解析(2021年の解析に、その後の6試験を加えた更新版)紹介する論文は、2025年に Lancet Diabetes & Endocrinologyに掲載された系統的レビュー・メタ解析で、40試験・61,589人を対象にした。[出典1]
- 論文の基本情報(論文カード用・2021年の解析)Lancet Diabetes & Endocrinology・2021年・系統的レビュー・メタ解析・43試験・48,488人対象: ビタミンDと偽薬を比べた二重盲検ランダム化試験を集めた解析(0〜95歳)比べる相手の論文は、2021年に Lancet Diabetes & Endocrinologyに掲載された系統的レビュー・メタ解析で、43試験・48,488人の主な結果のデータを集めた。[出典2]
- 急性呼吸器感染症(全体・2025年の更新)OR 0.94(95%CI 0.88-1.00、p=0.057、40試験・61,589人)対象: ビタミンDと偽薬を比べた40試験の参加者40試験6万人をまとめた更新版の解析で、ビタミンDを飲んだ群の急性呼吸器感染症は偽薬の群の0.94倍で、差があるとは言えなかった。[出典1]
- 2021年の解析との違い点推定0.94(2021年は0.92)/95%CIが1.00をまたぐようになった対象: 同じ研究グループによる2021年の解析と2025年の更新全体の効果の大きさ(0.94)は2021年の解析(0.92、VD-0061)とほぼ同じだったが、ばらつきの幅が1.00をまたぐようになった。[出典1]
- 小さな試験の偏り(ファンネルプロット)左側の非対称(Egger検定 p=0.0020)対象: 主要な比較に含まれた試験小さな試験ほど良い結果が出やすい偏りの兆候があり、著者は、2021年の『差あり』はこの偏りによる可能性があると述べた。[出典1]
- 飲み方の間隔別毎日 OR 0.84(0.73-0.97、21試験・21,552人)/ 週1回0.97(0.88-1.06、7試験・12,789人)/ 月1回〜3か月に1回0.98(0.93-1.03、12試験・27,248人)/ 週1回以下の試験の参加者 計40,037人・全体の約3分の2(当編集部の計算)対象: 40試験を飲み方の間隔で分けた集計毎日飲んだ試験では、急性呼吸器感染症が0.84倍で少なかった。週1回や、月1回〜3か月に1回まとめて飲んだ試験では差があるとは言えなかった。[出典1]
- 1日あたりの量別400〜1,000IU OR 0.70(0.55-0.89、10試験・2,305人)/400IU未満0.76(0.41-1.41)/1,001〜2,000IU 0.97(0.92-1.01)/2,000IU超1.05(0.84-1.31)対象: 40試験を1日あたりに直した量で分けた集計1日あたり400〜1,000IUの試験では、急性呼吸器感染症が0.70倍で少なかった。それより多い量や少ない量の試験では差があるとは言えなかった。[出典1]
- 年齢別1〜15歳 OR 0.74(0.60-0.92、16試験・11,944人)/1歳未満0.95(0.82-1.10)/16〜64歳0.95(0.86-1.05)/65歳以上0.97(0.92-1.02)対象: 40試験の参加者を年齢で分けた集計1〜15歳の子どもでは急性呼吸器感染症が0.74倍で少なかった。1歳未満、16〜64歳、65歳以上では差があるとは言えなかった。[出典1]
- 開始時の血中濃度別25nmol/L未満 OR 0.98(0.80-1.20、22試験・3,806人)/25〜49.9 1.03(0.94-1.13)/50〜74.9 0.90(0.80-1.02)/75以上0.97(0.87-1.07)対象: 40試験の参加者を開始時の血中濃度で分けた集計開始時の血中濃度で分けると、どの区分でも差があるとは言えなかった。濃度が特に低い人(25nmol/L未満)でも0.98倍だった。[出典1]
- サブグループの違いの検定(交互作用)飲み方の間隔・量・期間・年齢のいずれも、交互作用は有意でない対象: 40試験の試験単位の多変量メタ回帰飲み方の間隔・量・期間・年齢で効果が違うかを検定すると、どれも統計的にはっきりした違いは見られなかった。[出典1]
- 重い有害事象OR 0.96(0.90-1.04、38試験)対象: 40試験のうち重い有害事象を報告した38試験重い有害事象が1回以上あった人の割合は、ビタミンDの群と偽薬の群で差がなかった。[出典1]
- 別のモデル・感度分析固定効果モデル OR 0.96(0.93-1.00、p=0.047)/ 感染症を副次項目とした19試験を除くと0.90(0.79-1.02、21試験・9,975人)対象: 主要な比較の40試験試験間のばらつきが小さいため別の計算方法(固定効果モデル)でも求めると0.96倍でp=0.047だった。感染症を主な調査項目にした試験に絞ると0.90倍で、差があるとは言えなかった。[出典1]
- 新たに加わった大きな試験(Camargo 2023)米国・健康な高齢者15,804人・ビタミンD 50μg毎日・1年・偽薬対照(オメガ3との2×2要因試験)対象: 米国の50歳以上の健康な高齢者(平均68歳)更新で加わった最大の試験は、米国の健康な高齢者15,804人がビタミンD 50μgを毎日1年飲んだ試験で、開始時に濃度が25nmol/L未満の人は1.2%だった。[出典1]
- 急性呼吸器感染症(2021年のメタ解析)全体 OR 0.92(95%CI 0.86-0.99、37試験)/ 毎日飲む OR 0.78(0.65-0.94、19試験)/1日400〜1,000IU OR 0.70(0.55-0.89、10試験)/1〜15歳 OR 0.71(0.57-0.90、15試験)対象: 0〜95歳の48,488人(43試験、二重盲検ランダム化試験)43試験4万8千人のメタ解析で、ビタミンDを摂取した群は、風邪などの急性呼吸器感染症が少なかった。差は、毎日摂取する試験、1日400〜1,000IUの試験で大きかった。[出典2]
- 感染症にかかった人の割合(2021年の解析・全体)飲んだ群61.3%(14,332/23,364人)/ 偽薬群62.3%(14,217/22,802人)/ 差1.0ポイント(当編集部の計算)対象: 2021年の解析の全体の比較(37試験)の参加者2021年の解析で、急性呼吸器感染症に1回以上かかった人は、ビタミンDを飲んだ群で61.3%、偽薬群で62.3%だった。[出典2]
根拠一覧
論文・資料の一覧(2件)
- Vitamin D supplementation to prevent acute respiratory infections: systematic review and meta-analysis of stratified aggregate data. Lancet Diabetes Endocrinol 2025;13(4):307-320 — 原典(取得日:2026-10-28)
- Vitamin D supplementation to prevent acute respiratory infections: a systematic review and meta-analysis of aggregate data from randomised controlled trials. Lancet Diabetes Endocrinol 2021 — 原典(取得日:2026-10-28)
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