からだ事典
当サイトはアフィリエイトプログラム(広告)を運営継続のために利用しています。
成分から探す > 鉄

鉄は足りている?不足しやすい人と、健診で見落とされやすい理由

最終更新: 2026-10-27 / からだ事典編集部

このページの要点

  • 鉄の不足は、健診で貧血と出る前から進んでいることがある
  • 月経のある女性は失う鉄が多く、食事だけでは補いきれないことがある
  • 男性で鉄が足りないと言われたら、まず原因を調べてもらうことが勧められている
  • 月経の量が多い・長いとき、健診で数値が低いと言われたときは、医療機関に相談を
この記事は、医師の診察や治療に代わるものではありません。免責事項

健診で「貧血ではありません」と言われても、体内に蓄えられた鉄(貯蔵鉄)は減っていることがあります。鉄の不足は、貧血になる前から自覚のないまま進むためです。

鉄は、血液が酸素を運ぶために欠かせないミネラルです。体は毎日少しずつ鉄を失い、食事から吸収する1日1~2ミリグラムほどの鉄で補っています。

この収支を崩しやすいのが、月経です。

鉄は体の中を回りながら、少しずつ出ていく
食事から吸収1日1~2ミリグラムほど
蓄えフェリチン
血液ヘモグロビン(酸素を運ぶ)
毎日少しずつ出ていくはがれ落ちる腸の細胞など
月経の出血女性はここで多くを失う

出典: MSDマニュアル家庭版「鉄欠乏症」(記述をもとに当編集部が作図)

当てはまるものはありますか
  • 月経がある
  • 月経の出血量が多い、または月経が長く続く
  • 健診や検査で、ヘモグロビンやフェリチンが低いと言われた
  • 男性で、鉄が足りないと言われた

2つ目以降に当てはまる方は、こんなときは医療機関へも読んでください。

鉄の不足は、貧血より先に始まる

体内の鉄は、血液中で酸素を運ぶ鉄(ヘモグロビン)と、蓄えられた鉄(貯蔵鉄)に分かれます。貯蔵鉄の量の目安になる血液検査の値が、フェリチンです。

鉄が不足すると、体はまず蓄えを取り崩します。蓄えが尽きて初めてヘモグロビンが減り、貧血になります。

鉄の不足は、蓄えから先に減っていく(模式図)
1
鉄が足りている
蓄え
血液
健診: 異常なし
2
蓄えが減る
蓄え
血液
健診のヘモグロビンでは分からない
3
蓄えが尽きて貧血に
蓄え
血液
健診で「貧血」と分かる

出典: MSDマニュアル家庭版「鉄分欠乏性貧血」(記述をもとに当編集部が作図)

蓄えが尽きるまでには数カ月かかります。健診の項目がヘモグロビンだけの場合、その間は「異常なし」と出ることがあります。

貧血になると、どんな症状が出る?

疲れやすさ、顔色の悪さ、息切れ、動悸などが現れます。症状はゆっくり進むため、本人は気づきにくい傾向があります。

いずれも、鉄以外の原因でも起こる症状です。鉄不足が原因かどうかは、フェリチンを測る血液検査で最も正確に分かります。

数値の詳細(論文・資料の値)
  • 毎日失われる鉄と、食事から吸収される鉄
    1日当たり1~2ミリグラム
  • 鉄の不足が貧血になるまでの進み方
    体内の鉄分を使いきるには数カ月
  • 鉄の不足を確かめる検査
    最も正確な検査法は血液中のフェリチンの量の測定
  • 鉄が足りずに貧血になったときの症状
    疲労・筋力低下・肌が青白くなる/重度では息切れ・めまい・心拍数の増加

月経のある女性は、必要量が多い

厚生労働省は、1日に必要な鉄の目安(推奨量)を、性別・年齢・月経の有無で分けて定めています。

最も多いのは月経のある女性で、月経のない女性の倍近い量です。差の大部分は、月経で失われる鉄の分です。

1日の推奨量は、月経のある女性が最も多い
月経のある女性(18〜29歳)10.0mg/日
月経のある女性(30〜64歳)10.5mg/日
男性(30〜49歳)7.5mg/日
月経のない女性(18〜74歳)6.0mg/日

出典: 日本人の食事摂取基準(2025年版)(数値をもとに当編集部が作図)

1回の月経で80mL以上出血する「過多月経」の方は、この推奨量でも足りないことがあります。

数値の詳細(論文・資料の値)
  • 鉄の推定平均必要量・推奨量(2025年版)
    推定平均必要量7.0mg/日・推奨量10.0mg/日
  • 鉄の推定平均必要量・推奨量(2025年版)
    30〜49歳: 推定平均必要量7.5mg/日・推奨量10.5mg/日 /50〜64歳: 推定平均必要量7.5mg/日・推奨量10.5mg/日
  • 鉄の推定平均必要量・推奨量(2025年版)
    18〜74歳(月経なし): 推定平均必要量5.0mg/日・推奨量6.0mg/日
  • 鉄の推定平均必要量・推奨量(2025年版)
    推定平均必要量4.5mg/日・推奨量5.5mg/日
  • 鉄の推定平均必要量・推奨量(2025年版)
    18〜29歳: 推定平均必要量5.5mg/日・推奨量7.0mg/日 /30〜49歳: 推定平均必要量6.0mg/日・推奨量7.5mg/日
  • 鉄の推定平均必要量・推奨量(2025年版)
    50〜64歳: 推定平均必要量6.0mg/日・推奨量7.0mg/日 /65〜74歳: 推定平均必要量5.5mg/日・推奨量7.0mg/日 /75歳以上: 推定平均必要量5.5mg/日・推奨量6.5mg/日
  • 月経のある女性の推奨量が高い根拠(吸収率・月経血量の想定)
    吸収率 月経あり18%・それ以外16%/月経血量95パーセンタイル値60.2mL/回
  • 2020年版における月経血量の想定と過多月経の場合の必要量
    月経血量 幾何平均値37.0mL/回(20歳以上)/過多月経(80mL/回以上・18歳以上): 推定平均必要量13mg/日以上・推奨量16mg/日以上

食事を増やせば足りる?

推定平均必要量とは、その年代の半数の人が必要量を満たすと見込まれる量です。20〜40代の女性が食事でとる鉄の量は、平均するとこれより少なくなっています。

20〜40代の女性が食事でとる鉄の量は、平均すると推定平均必要量より少ない
20〜29歳の女性6.5mg/日┃ 推定平均必要量: 7.0mg/日
30〜39歳の女性6.2mg/日┃ 推定平均必要量: 7.5mg/日
40〜49歳の女性6.6mg/日┃ 推定平均必要量: 7.5mg/日

縦の線は、その年代の月経のある女性の推定平均必要量。
出典: 令和5年国民健康・栄養調査、日本人の食事摂取基準(2025年版)(数値をもとに当編集部が作図)

しかも、食事に含まれる鉄の85%以上は、吸収されにくい「非ヘム鉄」です。実際に吸収されるのは、そのうち20%以下です。

鉄の吸収を助ける食べ合わせ

肉や魚に含まれる「ヘム鉄」は、非ヘム鉄よりはるかに吸収されやすい鉄です。野菜や豆類の非ヘム鉄は、肉・魚やビタミンCと一緒に食べると吸収されやすくなります。

ただし、月経のある女性は失う鉄が多く、食事から吸収される鉄だけでは補いきれないことがあります。日本の女子学生の調査でも、鉄不足と関係していたのは月経の出血量でした。

日本の女子学生の調査日本の大学での調査
対象
栄養士を目指す女子学生
測ったもの
血液検査のフェリチン(鉄の蓄えの目安)と、食事からとる鉄の量
フェリチンが低く、鉄が不足していた人24.5%

出典: PubMed 19063766

  • 食事の鉄が多い人ほど不足が少ない、という関係はありませんでした
  • 月経の出血量が多い人ほど、鉄不足のリスクが高くなっていました
数値の詳細(論文・資料の値)
  • 若年日本人女性の鉄欠乏の頻度(血清フェリチン12ng/mL未満)
    24.5%(フェリチン<12ng/mL)

失う鉄が多いと、食事だけでは補いきれないことがあります。

月経の出血量が多いと感じる方は、その原因を医療機関で調べてもらえます。

鉄を補給した試験で報告されている結果は、鉄サプリの効果にまとめています。サプリメントは、貧血などの病気の治療や予防に使うものではありません。

数値の詳細(論文・資料の値)
  • 鉄の摂取量(国民健康・栄養調査 令和5年)
    平均6.5mg/日(標準偏差2.5・中央値6.4)
  • 鉄の摂取量(国民健康・栄養調査 令和5年)
    平均6.2mg/日(標準偏差2.3・中央値6.1)
  • 鉄の摂取量(国民健康・栄養調査 令和5年)
    平均6.6mg/日(標準偏差2.6・中央値6.3)
  • 食事の鉄の種類と吸収
    非ヘム鉄は平均的な食事の鉄の85%以上/吸収されるのは20%以下
  • ヘム鉄と非ヘム鉄の吸収
    ヘム鉄は非ヘム鉄よりはるかに効率的に吸収される

健診の数字はどう読む?

鉄の状態を示す検査値は、ヘモグロビンとフェリチンの2つです。ヘモグロビンは貧血の有無を、フェリチンは鉄の蓄えの量を示します。

ヘモグロビン:貧血の有無

20歳以上の女性では、ヘモグロビンが12.0g/dL未満の人が16.3%いました(令和5年国民健康・栄養調査)。

フェリチン:鉄の蓄えの量

フェリチンがいくつ未満なら「鉄不足」とするかの基準は、まだ一つに定まっていません。基準値の置き方によって、鉄不足とされる人の割合は大きく変わります。

生理学的な基準とは、ヘモグロビンなど血液の指標の変化から求めたフェリチンの基準です。

基準値によって、鉄不足とされる人の割合が変わる
フェリチンの基準値
WHOの基準15µg/L未満
生理学的な基準24.8µg/L
鉄不足とされた女性
WHOの基準20.1%
生理学的な基準36.0%

フェリチンの単位は µg/L と ng/mL があり、同じ値を表します。
出典: 12か国の女性の比較研究(PubMed 40288394)(数値をもとに当編集部が作図)

日本の学会(日本鉄バイオサイエンス学会)は、貧血がなくフェリチンが12ng/mL未満の状態を「潜在性鉄欠乏」としています。

同じ指針は、基準の置き方による違いを示した報告も紹介しています。12未満を基準にすると、鉄不足の人を見つけられる割合(感度)は25%で、30未満にすると92%でした。

12以上でも、蓄えが少ない場合があります。

炎症や感染症、肝臓の病気があると、フェリチンは蓄えの量と関係なく高く出ます。

健診の項目にフェリチンがないときは、医療機関で測ってほしいと相談できます。結果を控えておくと、医師に相談するときの材料になります。

数値の詳細(論文・資料の値)
  • 血色素量(ヘモグロビン)の平均値
    20〜29歳12.8g/dL(標準偏差0.9, n=52)/30〜39歳12.7g/dL(1.2, n=97)/40〜49歳12.4g/dL(1.5, n=153)
  • 血色素量12.0g/dL未満の者の割合(区分別、20歳以上女性全体)
    10.0未満1.6%(20人)・10.0〜10.9 3.4%(42人)・11.0〜11.9 11.3%(138人)/n=1,226
  • ヘモグロビンが12.0g/dLを下回っていた女性の割合(合算)
    12.0g/dL未満 合わせて16.3%(当編集部の計算)
  • 鉄欠乏を示すフェリチンの基準値(米国NHANES由来の生理学的基準)
    女性: ヘモグロビン基準25.2µg/L(95%CI 24.2–26.2)/sTfR基準24.0µg/L(95%CI 23.3–24.6)
  • 鉄欠乏の頻度(フェリチンの基準による違い、12か国の女性)
    生理学的基準36.0%(95%CI 25.3–46.8)vs WHO基準20.1%(11.5–28.7)/女性の生理学的基準24.8µg/L
  • WHOのフェリチンの基準(女性)
    WHO基準 女性15µg/L未満
  • 日本鉄バイオサイエンス学会の鉄欠乏性貧血・潜在性鉄欠乏の診断基準
    鉄欠乏性貧血: 貧血あり・TIBC 360µg/dL以上・血清フェリチン12ng/mL未満 / 潜在性鉄欠乏: 貧血なし・血清フェリチン12ng/mL未満
  • フェリチン12ng/mL未満と30ng/mL未満での診断の感度・特異度
    12ng/mL未満: 感度25%・特異度98%/30ng/mL未満: 感度92%・特異度98%
  • 炎症などがあるときのフェリチン
    悪性腫瘍・肝障害・感染症・炎症があると、貯蔵鉄とは無関係に上昇する

妊娠中・妊娠を考えている人

妊娠すると、鉄の必要量はさらに増えます。推奨量は、月経のない女性の6.0mg/日に、時期ごとの付加量を加えた量です。

妊娠初期+2.5mg/日
妊娠中期・後期+8.5mg/日
授乳中+2.0mg/日

出典: 日本人の食事摂取基準(2025年版)

日本の妊娠後期の女性の調査では、鉄が足りていた人は少数でした。

妊娠後期の日本の女性の鉄の状態
  • 貧血34.7%
  • 貧血はないが、鉄が不足47.6%
  • どちらでもない(足りている)17.6%

出典: 日本の妊婦の観察研究(PubMed 38337702)(数値をもとに当編集部が作図)

妊娠中に余分に必要になる鉄は、合わせて約900mgと見積もられています。妊婦自身の鉄の蓄え(約300mg)だけでは、中期・後期の需要をまかなえません。

そのため、妊娠を考えている方は、事前にフェリチンを測っておくと相談の材料になります。妊娠中の鉄については、妊婦健診で医師や助産師に相談できます。

妊娠を計画している女性には、鉄とは別に、サプリなどから葉酸を1日400µg/日補うことが推奨されています(食事摂取基準)。

数値の詳細(論文・資料の値)
  • 妊婦の鉄の付加量(2025年版)
    初期: 推定平均必要量+2.0mg/日・推奨量+2.5mg/日 / 中期・後期: 推定平均必要量+7.0mg/日・推奨量+8.5mg/日
  • 授乳婦の鉄の付加量(2025年版)
    推定平均必要量+1.5mg/日・推奨量+2.0mg/日
  • 妊娠後期の貧血・鉄欠乏(フェリチンとヘモグロビンで分類)
    貧血34.7%(110人)・貧血のない鉄欠乏47.6%(151人)・正常17.6%(56人)/n=317
  • 妊娠で余分に必要になる鉄の量
    胎児・胎盤320mg+母体のHb量300mg+排泄280mg=約900mg
  • 妊娠中期〜後期の貯蔵鉄と鉄の補充
    妊婦自身の貯蔵鉄量は約300mgで、妊娠中後期の需要には足りず、鉄の補充が必要
  • 妊娠を計画している女性への葉酸の付加(2025年版)
    通常の食品以外の食品に含まれる葉酸を400µg/日摂取することが望まれる

運動をする人

持久系の運動をする人も、鉄が不足しやすいと報告されています。競技者の鉄不足は、女性で約15〜35%、男性で約5〜11%とまとめられています。

  • 運動の後は、鉄の吸収を抑えるホルモン(ヘプシジン)が1.5〜2.5倍に上がり、運動後3〜6時間で最も高くなります
  • 走る際の足の着地によって、赤血球が壊れる変化(溶血)も起きていました
  • 汗で失われる鉄は少なく、2時間の運動で推奨量の数%程度でした

日本陸連は、選手の貧血への対処として、食事で適切に鉄分を補う、鉄分の過剰に注意する、定期的に血液検査を受ける、安易に鉄剤の注射を受けない、などを挙げています。

数値の詳細(論文・資料の値)
  • 競技者の鉄欠乏の割合(総説)
    鉄欠乏は女性の競技者で約15〜35%、男性で約5〜11%
  • 運動後のヘプシジンの上がり方(個人データのメタ分析)
    運動でヘプシジンが1.5〜2.5倍に上がり、運動後3〜6時間でピークになる
  • 走ることによる赤血球の壊れ(足の着地による溶血、スコーピングレビュー)
    レースの前後で網状赤血球が16%増え、ハプトグロビンが21%減った。ヘモグロビンは基準範囲内のまま
  • 運動中の汗で失われる鉄の量
    2時間の運動で、汗による鉄の損失は鉄の推奨量(RDA)の男性3%・女性1%
  • 運動中に鉄が失われる経路(総説)
    溶血・血尿・発汗・消化管出血で鉄が失われうる/炎症性サイトカインがヘプシジンを増やす
  • 日本陸連「アスリートの貧血対処7か条」(2016年4月)
    ①食事で適切に鉄分を摂取 ②鉄分のとりすぎに注意 ③定期的な血液検査で状態を確認 ④疲れやすい・動けないなどの症状は医師に相談 ⑤貧血の治療は医師と共に ⑥治療とともに原因を検索 ⑦安易な鉄剤注射は体調悪化の元

男性の場合

男性の推奨量は月経のある女性より少なく、食事でとる鉄の量も、平均すると推定平均必要量より多くなっています。

男性が食事でとる鉄の量は、平均すると推定平均必要量より多い
20〜29歳の男性7.4mg/日┃ 推定平均必要量: 5.5mg/日
30〜39歳の男性7.4mg/日┃ 推定平均必要量: 6.0mg/日
40〜49歳の男性7.5mg/日┃ 推定平均必要量: 6.0mg/日

縦の線は男性の推定平均必要量。
出典: 令和5年国民健康・栄養調査、日本人の食事摂取基準(2025年版)(数値をもとに当編集部が作図)

そのため、男性で鉄が足りないと言われたときは、まず原因を調べることが勧められています。

英国消化器病学会の診療指針は、鉄欠乏性貧血で受診した男性と閉経後女性の約3分の1に、原因となる病気があるとしています。多くは胃や腸などの消化管の病気です。

MSDマニュアルは、男性と月経のない女性に、医師の具体的な指示がない限り鉄のサプリを飲まないよう勧めています。腸からの出血の診断が難しくなるためです。

献血を続けている人は、鉄が減りやすい

献血では、血液と一緒に鉄も失われます。米国の研究では、献血を繰り返す男性ほど、鉄の蓄えが尽きた人の割合が高くなっていました。

献血を繰り返す男性は、蓄えが尽きた人が多かった
蓄えが尽きていた人
初回・久しぶりの男性8%
献血を繰り返す男性18%
赤血球を作る鉄が足りていなかった人
初回・久しぶりの男性20%
献血を繰り返す男性47%

蓄えが尽きた状態は、フェリチンが12ng/mL未満を指します。
出典: 米国の献血者の研究 RISE(PubMed 22023513)(数値をもとに当編集部が作図)

献血を続けていて体調が気になるときは、フェリチンを測ってもらうと、鉄の蓄えの状態が分かります。

数値の詳細(論文・資料の値)
  • 鉄の摂取量(国民健康・栄養調査 令和5年)
    平均7.4mg/日(標準偏差2.9・中央値7.0)
  • 鉄の摂取量(国民健康・栄養調査 令和5年)
    平均7.4mg/日(標準偏差2.9・中央値6.9)
  • 鉄の摂取量(国民健康・栄養調査 令和5年)
    平均7.5mg/日(標準偏差3.0・中央値7.0)
  • 鉄欠乏性貧血の男性・閉経後女性の原因検索(診療ガイドライン)
    約3分の1に原因となる病気(多くは消化管)
  • 献血を繰り返す人の鉄の不足(前向き研究)
    頻回献血の男性: 貯蔵鉄の枯渇18%・鉄欠乏性の造血47%/ 初回・再開の男性: 8%・20%
  • 男性と月経のない女性の鉄サプリの服用
    医師による具体的な指示がない限り服用してはいけない

疲れの原因は、鉄だけではない

疲れやすさには、鉄の不足のほかにも原因があります。MSDマニュアルは、よくある原因を次のように挙げています。

  • 最近始まった疲れ: 薬の副作用、貧血、ストレスやうつ病
  • 長く続く疲れ: 糖尿病、甲状腺の機能低下、睡眠障害(睡眠時無呼吸症候群など)、がん

疲れが続くときは、医療機関で血液検査などを受けると、原因を絞り込めます。

数値の詳細(論文・資料の値)
  • 最近の疲労感(1カ月以内)の最も一般的な原因
    薬の副作用、貧血(赤血球が少なくなること)、ストレスやうつ病
  • 長期の疲労感(1〜6カ月)の最も一般的な原因
    糖尿病、甲状腺機能低下症、睡眠障害(睡眠時無呼吸症候群など)、がん
  • 疲労感と睡眠障害
    疲労感がある人の多くは睡眠障害を抱えており、睡眠不足と疲労感の症状が重複する
  • 疲労感の主な原因の特徴と調べ方(貧血・甲状腺機能低下症・睡眠障害)
    貧血: 血算 / 甲状腺機能低下症: 甲状腺機能の血液検査 / 睡眠障害: 睡眠検査

こんなときは医療機関へ

次に当てはまる場合は、医療機関に相談してください。ヘモグロビンとフェリチンを調べれば、鉄不足がどの段階にあるかが分かります。

  • 月経が7日より長く続く、または1時間ごとにナプキンやタンポンがあふれる(月経の出血量が多い目安)
  • 疲れやすさ、息切れ、動悸などが続いている
  • 健診や検査で、ヘモグロビンやフェリチンが低いと言われた
  • 男性、または閉経後の女性で、鉄が足りないと言われた
  • 妊娠中・授乳中(妊婦健診で相談できます)
数値の詳細(論文・資料の値)
  • 月経の出血が多いことの目安
    7日より長く続く、または1時間ごとにナプキンやタンポンがあふれる

まとめ

  • 健診で異常がなくても疲れなどが気になるときは、医療機関で鉄の蓄え(フェリチン)を測ってもらう
  • 月経の量が多いとき、男性や月経のない女性で鉄が足りないと言われたときは、まず原因を調べてもらう
  • 妊娠中・授乳中の鉄は、妊婦健診で医師や助産師に相談する

次に読むもの

この記事で使った数値の一覧(51件)
  1. 鉄の推定平均必要量・推奨量(2025年版)
    推定平均必要量7.0mg/日・推奨量10.0mg/日
    対象: 18〜29歳女性・月経あり
    2025年版の食事摂取基準では、18〜29歳の月経のある女性の推定平均必要量は7.0mg/日、推奨量は10.0mg/日と示された。[出典1]
  2. 鉄の推定平均必要量・推奨量(2025年版)
    30〜49歳: 推定平均必要量7.5mg/日・推奨量10.5mg/日 /50〜64歳: 推定平均必要量7.5mg/日・推奨量10.5mg/日
    対象: 30〜64歳女性・月経あり
    2025年版では、月経のある30〜49歳と50〜64歳の女性はいずれも推定平均必要量7.5mg/日、推奨量10.5mg/日とされた。[出典1]
  3. 鉄の推定平均必要量・推奨量(2025年版)
    18〜74歳(月経なし): 推定平均必要量5.0mg/日・推奨量6.0mg/日
    対象: 18〜74歳女性・月経なし
    2025年版では、月経のない18〜74歳の女性は推定平均必要量5.0mg/日、推奨量6.0mg/日とされた。[出典1]
  4. 鉄の推定平均必要量・推奨量(2025年版)
    推定平均必要量4.5mg/日・推奨量5.5mg/日
    対象: 75歳以上女性
    2025年版では、75歳以上の女性の推定平均必要量は4.5mg/日、推奨量は5.5mg/日とされた。[出典1]
  5. 鉄の推定平均必要量・推奨量(2025年版)
    18〜29歳: 推定平均必要量5.5mg/日・推奨量7.0mg/日 /30〜49歳: 推定平均必要量6.0mg/日・推奨量7.5mg/日
    対象: 18〜49歳男性
    2025年版では、成人男性の推奨量は18〜29歳で7.0mg/日、30〜49歳で7.5mg/日とされた。[出典1]
  6. 鉄の推定平均必要量・推奨量(2025年版)
    50〜64歳: 推定平均必要量6.0mg/日・推奨量7.0mg/日 /65〜74歳: 推定平均必要量5.5mg/日・推奨量7.0mg/日 /75歳以上: 推定平均必要量5.5mg/日・推奨量6.5mg/日
    対象: 50歳以上男性
    2025年版では、50歳以上の男性の推奨量は50〜64歳と65〜74歳で7.0mg/日、75歳以上で6.5mg/日とされた。[出典1]
  7. 妊婦の鉄の付加量(2025年版)
    初期: 推定平均必要量+2.0mg/日・推奨量+2.5mg/日 / 中期・後期: 推定平均必要量+7.0mg/日・推奨量+8.5mg/日
    対象: 妊婦
    2025年版では、妊婦の付加量は初期が推奨量+2.5mg/日、中期・後期が推奨量+8.5mg/日とされた。[出典1]
  8. 授乳婦の鉄の付加量(2025年版)
    推定平均必要量+1.5mg/日・推奨量+2.0mg/日
    対象: 授乳婦
    2025年版では、授乳婦の付加量は推定平均必要量+1.5mg/日、推奨量+2.0mg/日とされた。[出典1]
  9. 月経のある女性の推奨量が高い根拠(吸収率・月経血量の想定)
    吸収率 月経あり18%・それ以外16%/月経血量95パーセンタイル値60.2mL/回
    対象: 月経のある女性(10歳以上の女児を含む)
    2025年版は、月経のある女性の鉄吸収率を18%、それ以外を16%と置き、月経血量の95パーセンタイル値60.2mL/回に伴う鉄損失を推奨量の算定に加えた。[出典1]
  10. 2020年版における月経血量の想定と過多月経の場合の必要量
    月経血量 幾何平均値37.0mL/回(20歳以上)/過多月経(80mL/回以上・18歳以上): 推定平均必要量13mg/日以上・推奨量16mg/日以上
    対象: 月経のある成人女性(2020年版)
    2020年版は、過多月経(月経血量80mL/回以上)の18歳以上では推定平均必要量13mg/日以上・推奨量16mg/日以上となり、通常の食品からの摂取は難しく、鉄剤等の補給が必要なときは医療機関を受診して基礎疾患の有無を確認するとした。[出典2]
  11. 鉄の摂取量(国民健康・栄養調査 令和5年)
    平均6.5mg/日(標準偏差2.5・中央値6.4)
    対象: 20〜29歳女性 n=147
    令和5年国民健康・栄養調査では、20〜29歳女性の鉄摂取量は平均6.5mg/日(中央値6.4)と報告された。[出典3]
  12. 鉄の摂取量(国民健康・栄養調査 令和5年)
    平均6.2mg/日(標準偏差2.3・中央値6.1)
    対象: 30〜39歳女性 n=250
    令和5年国民健康・栄養調査では、30〜39歳女性の鉄摂取量は平均6.2mg/日(中央値6.1)と報告された。[出典3]
  13. 鉄の摂取量(国民健康・栄養調査 令和5年)
    平均6.6mg/日(標準偏差2.6・中央値6.3)
    対象: 40〜49歳女性 n=313
    令和5年国民健康・栄養調査では、40〜49歳女性の鉄摂取量は平均6.6mg/日(中央値6.3)と報告された。[出典3]
  14. 若年日本人女性の鉄欠乏の頻度(血清フェリチン12ng/mL未満)
    24.5%(フェリチン<12ng/mL)
    対象: 18〜25歳の日本人女性 栄養士養成課程の学生 n=1019
    日本の栄養士養成課程の女子学生1019人の横断研究で、24.5%が血清フェリチン12ng/mL未満の鉄欠乏に分類され、食事の鉄摂取量とは有意な関連がなかった。[出典4]
  15. 血色素量(ヘモグロビン)の平均値
    20〜29歳12.8g/dL(標準偏差0.9, n=52)/30〜39歳12.7g/dL(1.2, n=97)/40〜49歳12.4g/dL(1.5, n=153)
    対象: 20〜49歳女性(貧血治療のための薬の使用者を含む)
    令和5年国民健康・栄養調査の女性の血色素量の平均は、20〜29歳12.8、30〜39歳12.7、40〜49歳12.4g/dLだった。[出典3]
  16. 血色素量12.0g/dL未満の者の割合(区分別、20歳以上女性全体)
    10.0未満1.6%(20人)・10.0〜10.9 3.4%(42人)・11.0〜11.9 11.3%(138人)/n=1,226
    対象: 20歳以上女性(貧血治療のための薬の使用者を含む)
    令和5年国民健康・栄養調査の20歳以上女性(n=1,226)では、12.0g/dL未満の3区分がそれぞれ1.6%、3.4%、11.3%だった(合算は当方計算で16.3%)。[出典3]
  17. 鉄欠乏を示すフェリチンの基準値(米国NHANES由来の生理学的基準)
    女性: ヘモグロビン基準25.2µg/L(95%CI 24.2–26.2)/sTfR基準24.0µg/L(95%CI 23.3–24.6)
    対象: 15〜49歳の非妊娠女性 n=7498(米国)
    米国NHANESの解析では、非妊娠女性で血色素量と可溶性トランスフェリン受容体から導いたフェリチンの閾値はそれぞれ約25µg/Lで、WHOの15µg/Lより高かった。[出典5]
  18. 鉄欠乏の頻度(フェリチンの基準による違い、12か国の女性)
    生理学的基準36.0%(95%CI 25.3–46.8)vs WHO基準20.1%(11.5–28.7)/女性の生理学的基準24.8µg/L
    対象: 15〜49歳の非妊娠女性(12か国、アフリカ・アジア・欧州・中米)
    12か国の女性では、フェリチンの基準を生理学的な24.8µg/Lにすると鉄欠乏の頻度は36.0%となり、WHO基準(15µg/L未満)の20.1%より高かった。[出典6]
  19. 妊娠後期の貧血・鉄欠乏(フェリチンとヘモグロビンで分類)
    貧血34.7%(110人)・貧血のない鉄欠乏47.6%(151人)・正常17.6%(56人)/n=317
    対象: 妊娠後期の日本人女性 n=317
    日本の妊娠後期女性317人の前向き観察研究では、貧血が34.7%、貧血のない鉄欠乏が47.6%、いずれにも該当しない正常が17.6%だった。[出典7]
  20. 鉄の摂取量(国民健康・栄養調査 令和5年)
    平均7.4mg/日(標準偏差2.9・中央値7.0)
    対象: 20〜29歳男性 n=162
    令和5年国民健康・栄養調査では、20〜29歳男性の鉄摂取量は平均7.4mg/日(中央値7.0)と報告された。[出典3]
  21. 鉄の摂取量(国民健康・栄養調査 令和5年)
    平均7.4mg/日(標準偏差2.9・中央値6.9)
    対象: 30〜39歳男性 n=239
    令和5年国民健康・栄養調査では、30〜39歳男性の鉄摂取量は平均7.4mg/日(中央値6.9)と報告された。[出典3]
  22. 鉄の摂取量(国民健康・栄養調査 令和5年)
    平均7.5mg/日(標準偏差3.0・中央値7.0)
    対象: 40〜49歳男性 n=272
    令和5年国民健康・栄養調査では、40〜49歳男性の鉄摂取量は平均7.5mg/日(中央値7.0)と報告された。[出典3]
  23. 鉄欠乏性貧血の男性・閉経後女性の原因検索(診療ガイドライン)
    約3分の1に原因となる病気(多くは消化管)
    対象: 鉄欠乏性貧血で受診した成人の男性・閉経後女性(英国の診療ガイドライン)
    英国消化器病学会の診療ガイドラインは、鉄欠乏性貧血で受診した男性と閉経後女性のおよそ3分の1に原因となる病気があり、多くは消化管にあるとして、鉄の補充とあわせて原因を調べることを求めている。[出典8]
  24. 献血を繰り返す人の鉄の不足(前向き研究)
    頻回献血の男性: 貯蔵鉄の枯渇18%・鉄欠乏性の造血47%/ 初回・再開の男性: 8%・20%
    対象: 米国の献血者2,425人(頻回献血者と、初回または2年以上献血していない人。男女)
    米国の献血者の前向き研究(RISE)では、最終来所時に貯蔵鉄の枯渇(フェリチン12ng/mL未満)があったのは、頻回献血の男性で18%、初回・再開の男性で8%だった。献血の頻度が高く間隔が短いほど鉄の不足が多く、鉄サプリの使用で不足は減った。[出典9]
  25. プロトンポンプ阻害薬(胃酸を抑える薬)の長期使用と鉄欠乏性貧血(症例報告)
    25年間のオメプラゾール使用後に鉄欠乏性貧血を発症した1例
    対象: 52歳男性1例(日本)
    日本の症例報告で、25年間オメプラゾールを使った52歳男性に、消化管の出血源が見つからない鉄欠乏性貧血が起き、胃酸の分泌低下による鉄吸収の低下が原因と考えられた。[出典10]
  26. 毎日失われる鉄と、食事から吸収される鉄
    1日当たり1~2ミリグラム
    対象: 一般(成人)
    鉄は腸の粘膜から剥がれ落ちる細胞などと一緒に毎日少しずつ失われ、通常は食物から吸収される1日当たり1~2mgの鉄で補われる。女性は月経でより多くの鉄を失い、食物から吸収される鉄では補いきれないことがある。[出典11]
  27. 鉄の不足が貧血になるまでの進み方
    体内の鉄分を使いきるには数カ月
    対象: 一般
    鉄欠乏性貧血はゆっくり進む。鉄の貯蔵量が減ると骨髄の赤血球産生が徐々に落ち、貯蔵鉄が尽きると赤血球の数が減って小さくなる。[出典12]
  28. 鉄の不足を確かめる検査
    最も正確な検査法は血液中のフェリチンの量の測定
    対象: 一般
    鉄欠乏の最も正確な検査法は血液中のフェリチンの量を測ること。ただし肝傷害・炎症・感染・がんなどでフェリチンが高く出て、正常に見えることがある。[出典12]
  29. 男性と月経のない女性の鉄サプリの服用
    医師による具体的な指示がない限り服用してはいけない
    対象: 男性と月経のない女性
    男性と月経のない女性は、医師の具体的な指示がない限り、鉄サプリメント・鉄剤・鉄を含む総合ビタミン剤を服用すべきでない。腸からの出血(結腸がんなど重い病気が原因のことがある)の診断が難しくなるため。[出典11]
  30. 月経の出血が多いことの目安
    7日より長く続く、または1時間ごとにナプキンやタンポンがあふれる
    対象: 月経のある女性
    月経の出血が多い(7日より長く続く、または1時間ごとにタンポンやナプキンがあふれる)女性は鉄欠乏性貧血になりうる。[出典13]
  31. 食事の鉄の種類と吸収
    非ヘム鉄は平均的な食事の鉄の85%以上/吸収されるのは20%以下
    対象: 一般
    大半の食品と鉄サプリ・鉄剤に含まれるのは非ヘム鉄で、平均的な食事の鉄の85%以上を占めるが、吸収されるのは摂取した非ヘム鉄の20%以下。動物性たんぱく質やビタミンCと一緒に摂取すると吸収されやすい。[出典11]
  32. WHOのフェリチンの基準(女性)
    WHO基準 女性15µg/L未満
    対象: 健康な女性
    WHOのガイドラインは、健康な女性の鉄欠乏のフェリチンの基準を15µg/L未満としている。[出典6]
  33. ヘモグロビンが12.0g/dLを下回っていた女性の割合(合算)
    12.0g/dL未満 合わせて16.3%(当編集部の計算)
    対象: 20歳以上女性 n=1,226
    令和5年国民健康・栄養調査の20歳以上女性では、血色素量が12.0g/dL未満の3区分(1.6%・3.4%・11.3%)を合わせると16.3%だった(当編集部の合算)。[出典3]
  34. 鉄が足りずに貧血になったときの症状
    疲労・筋力低下・肌が青白くなる/重度では息切れ・めまい・心拍数の増加
    対象: 一般
    体内の鉄が使い尽くされると鉄欠乏性貧血が起こり、肌が青白くなり、筋力低下と疲労が起こる。集中力が損なわれることもある。重度では息切れ・めまい・心拍数の増加が起こる。症状は徐々に進み、他の種類の貧血の症状と似ている。[出典11]
  35. ヘム鉄と非ヘム鉄の吸収
    ヘム鉄は非ヘム鉄よりはるかに効率的に吸収される
    対象: 一般
    ヘム鉄は動物性食品に含まれ、非ヘム鉄よりはるかに効率的に吸収される。非ヘム鉄は動物性たんぱく質やビタミンCと一緒に摂取すると吸収されやすくなる。[出典11]
  36. 日本鉄バイオサイエンス学会の鉄欠乏性貧血・潜在性鉄欠乏の診断基準
    鉄欠乏性貧血: 貧血あり・TIBC 360µg/dL以上・血清フェリチン12ng/mL未満 / 潜在性鉄欠乏: 貧血なし・血清フェリチン12ng/mL未満
    対象: 成人(日本の診療指針)
    日本鉄バイオサイエンス学会は、血清フェリチン12ng/mL未満を、貧血のある鉄欠乏性貧血(TIBC 360µg/dL以上を併せる)と、貧血のない潜在性鉄欠乏の診断基準に挙げている。[出典14]
  37. フェリチン12ng/mL未満と30ng/mL未満での診断の感度・特異度
    12ng/mL未満: 感度25%・特異度98%/30ng/mL未満: 感度92%・特異度98%
    対象: 鉄欠乏の診断(ある報告)
    指針は、ある報告として、フェリチン12ng/mL未満をカットオフにすると感度25%・特異度98%、30ng/mL未満にすると感度が92%に上がり特異度は98%のままだったと紹介している。[出典14]
  38. 炎症などがあるときのフェリチン
    悪性腫瘍・肝障害・感染症・炎症があると、貯蔵鉄とは無関係に上昇する
    対象: 鉄欠乏の診断
    血清フェリチンは悪性腫瘍・肝障害・感染症・炎症などがあると貯蔵鉄量と無関係に上がるため、正常範囲でも鉄欠乏を除外できない。[出典14]
  39. 妊娠で余分に必要になる鉄の量
    胎児・胎盤320mg+母体のHb量300mg+排泄280mg=約900mg
    対象: 妊婦
    指針は、妊娠時には胎児・胎盤の形成に320mg、母体のヘモグロビン量に300mg、排泄される鉄280mgを合わせ、約900mgの余分な鉄が必要としている。[出典15]
  40. 妊娠中期〜後期の貯蔵鉄と鉄の補充
    妊婦自身の貯蔵鉄量は約300mgで、妊娠中後期の需要には足りず、鉄の補充が必要
    対象: 妊婦
    指針は、妊娠中後期は需要が増え、約300mgといわれる妊婦自身の貯蔵鉄量だけでは十分対応できず、鉄の補充が必要になるとしている。[出典15]
  41. 妊娠を計画している女性への葉酸の付加(2025年版)
    通常の食品以外の食品に含まれる葉酸を400µg/日摂取することが望まれる
    対象: 妊娠を計画している女性、妊娠の可能性がある女性、妊娠初期の妊婦
    2025年版の食事摂取基準は、胎児の神経管閉鎖障害のリスク低減のために、妊娠を計画している女性などが、サプリメントなど通常の食品以外の食品に含まれる葉酸を400µg/日摂取することが望まれるとしている。[出典1]
  42. 競技者の鉄欠乏の割合(総説)
    鉄欠乏は女性の競技者で約15〜35%、男性で約5〜11%
    対象: 競技者(総説が整理した集団)
    総説は、鉄欠乏が女性の競技者の集団で約15〜35%、男性で約5〜11%にみられると整理している。[出典16]
  43. 運動後のヘプシジンの上がり方(個人データのメタ分析)
    運動でヘプシジンが1.5〜2.5倍に上がり、運動後3〜6時間でピークになる
    対象: 運動の研究の参加者(個人データのメタ分析)
    ヘプシジンは運動後3〜6時間でピークになり、運動によって1.5〜2.5倍に上がる。上がり方には運動時間が最も関係していた(変動の約44%)。[出典17]
  44. 走ることによる赤血球の壊れ(足の着地による溶血、スコーピングレビュー)
    レースの前後で網状赤血球が16%増え、ハプトグロビンが21%減った。ヘモグロビンは基準範囲内のまま
    対象: マラソン以上のレースを走った9研究・267人(88%が男性、平均37歳)
    マラソン以上のレースの前後で、網状赤血球が16%増え、ハプトグロビンが21%減り、一時的な足の着地による溶血を示唆する変化があったが、ヘモグロビンやヘマトクリットは大きくは変わらなかった。[出典18]
  45. 運動中の汗で失われる鉄の量
    2時間の運動で、汗による鉄の損失は鉄の推奨量(RDA)の男性3%・女性1%
    対象: 趣味で自転車に乗る男女各9人(最大酸素摂取量の約50%で2時間、気温23℃)
    2時間の運動で汗から失われた鉄は、鉄の推奨量の男性で3%、女性で1%にとどまった。汗の鉄は運動の60〜90分で有意に減った。[出典19]
  46. 運動中に鉄が失われる経路(総説)
    溶血・血尿・発汗・消化管出血で鉄が失われうる/炎症性サイトカインがヘプシジンを増やす
    対象: 運動する人(総説)
    総説は、運動中の鉄の損失の経路として、溶血・血尿・発汗・消化管出血を挙げ、運動で上がるサイトカインが肝臓でのヘプシジンの産生を増やして鉄の吸収を妨げうるとしている。[出典20]
  47. 日本陸連「アスリートの貧血対処7か条」(2016年4月)
    ①食事で適切に鉄分を摂取 ②鉄分のとりすぎに注意 ③定期的な血液検査で状態を確認 ④疲れやすい・動けないなどの症状は医師に相談 ⑤貧血の治療は医師と共に ⑥治療とともに原因を検索 ⑦安易な鉄剤注射は体調悪化の元
    対象: アスリート(日本陸上競技連盟)
    日本陸連は2016年4月に「アスリートの貧血対処7か条」を出し、定期的な血液検査、症状があれば医師に相談、安易な鉄剤注射を避けることなどを挙げた。[出典21]
  48. 最近の疲労感(1カ月以内)の最も一般的な原因
    薬の副作用、貧血(赤血球が少なくなること)、ストレスやうつ病
    対象: 疲労感で受診した人(MSDマニュアル家庭版)
    MSDマニュアル家庭版は、1カ月以内の最近の疲労感で最も一般的な原因として、薬の副作用、貧血、ストレスやうつ病を挙げている。[出典22]
  49. 長期の疲労感(1〜6カ月)の最も一般的な原因
    糖尿病、甲状腺機能低下症、睡眠障害(睡眠時無呼吸症候群など)、がん
    対象: 疲労感で受診した人(MSDマニュアル家庭版)
    MSDマニュアル家庭版は、1〜6カ月続く疲労感の最も一般的な原因として、糖尿病、甲状腺機能低下症、睡眠障害(睡眠時無呼吸症候群など)、がんを挙げている。[出典22]
  50. 疲労感と睡眠障害
    疲労感がある人の多くは睡眠障害を抱えており、睡眠不足と疲労感の症状が重複する
    対象: 疲労感で受診した人(MSDマニュアル家庭版)
    MSDマニュアル家庭版は、疲労感がある人の多くは睡眠障害を抱えているため、睡眠不足と疲労感の症状が重複することがあるとしている。[出典22]
  51. 疲労感の主な原因の特徴と調べ方(貧血・甲状腺機能低下症・睡眠障害)
    貧血: 血算 / 甲状腺機能低下症: 甲状腺機能の血液検査 / 睡眠障害: 睡眠検査
    対象: 長期または慢性の疲労感がある人(MSDマニュアル家庭版の表)
    表は、貧血は活動中の息切れを伴う運動耐容能の低下で血算、甲状腺機能低下症は寒さに弱くなる・体重増加・便秘・皮膚の荒れで甲状腺機能の血液検査、睡眠障害は日中の過度の眠気や休息感の得られない睡眠で睡眠検査、と整理している。[出典23]

根拠一覧

論文・資料の一覧(23件)
  1. 日本人の食事摂取基準(2025年版)の策定ポイント(策定検討会報告書 鉄の章 p.286〜352 の要約スライド、スライド p.116〜117) — 原典(取得日:2026-10-24)
  2. 日本人の食事摂取基準(2020年版)策定検討会報告書「(2)微量ミネラル ①鉄(Fe)」 — 原典(取得日:2026-10-24)
  3. 令和5年国民健康・栄養調査報告 第1部 栄養摂取状況調査の結果(第1表の3 栄養素等摂取量、女性1歳以上、年齢階級別)p.62 — 原典(取得日:2026-10-24)
  4. Iron intake does not significantly correlate with iron deficiency among young Japanese women: a cross-sectional study. — 原典(取得日:2026-10-24)
  5. Physiologically based serum ferritin thresholds for iron deficiency in children and non-pregnant women: a US National Health and Nutrition Examination Surveys (NHANES) serial cross-sectional study. — 原典(取得日:2026-10-24)
  6. Physiologically based serum ferritin thresholds for iron deficiency among women and children from Africa, Asia, Europe, and central America: a multinational comparative study. — 原典(取得日:2026-10-24)
  7. Factors Associated with Anemia and Iron Deficiency during Pregnancy: A Prospective Observational Study in Japan. — 原典(取得日:2026-10-24)
  8. British Society of Gastroenterology guidelines for the management of iron deficiency anaemia in adults. Gut 2021 — 原典(取得日:2026-10-25)
  9. Iron deficiency in blood donors: the REDS-II Donor Iron Status Evaluation (RISE) study. Transfusion 2012 — 原典(取得日:2026-10-25)
  10. Iron Deficiency Anemia Due to the Long-term Use of a Proton Pump Inhibitor. — 原典(取得日:2026-10-24)
  11. MSDマニュアル家庭版 11. 栄養障害 > ミネラル > 鉄欠乏症 — 原典(取得日:2026-10-25)
  12. MSDマニュアル家庭版 13. 血液の病気 > 貧血 > 鉄分欠乏性貧血 — 原典(取得日:2026-10-25)
  13. The Nutrition Source – Iron(Last reviewed March 2023) — 原典(取得日:2026-10-25)
  14. Ⅱ 鉄欠乏・鉄欠乏性貧血の診断指針:3. 鉄欠乏・鉄欠乏性貧血の診断・診断基準(1)(日本鉄バイオサイエンス学会) — 原典(取得日:2026-10-26)
  15. 領域別鉄剤使用法 ⅲ.産婦人科(1)(妊婦貧血・過多月経など)(日本鉄バイオサイエンス学会) — 原典(取得日:2026-10-26)
  16. Iron considerations for the athlete: a narrative review. (Eur J Appl Physiol 2019) — 原典(取得日:2026-10-26)
  17. Factors Influencing the Hepcidin Response to Exercise: An Individual Participant Data Meta-analysis. (Sports Med 2023) — 原典(取得日:2026-10-26)
  18. Foot-strike Hemolysis: A Scoping Review of Long-Distance Runners. (Kans J Med 2024) — 原典(取得日:2026-10-26)
  19. Sweat iron and zinc losses during prolonged exercise. (Int J Sport Nutr Exerc Metab 2002) — 原典(取得日:2026-10-26)
  20. Athletic induced iron deficiency: new insights into the role of inflammation, cytokines and hormones. (Eur J Appl Physiol 2008) — 原典(取得日:2026-10-26)
  21. 鉄剤の注射について・注意喚起(公益財団法人日本学生陸上競技連合 医事委員会 委員長 蒲原一之)。日本陸連「アスリートの貧血対処7か条」を引用 — 原典(取得日:2026-10-26)
  22. 疲労感(MSDマニュアル家庭版 26. その他の話題) — 原典(取得日:2026-10-26)
  23. Table: 長期または慢性の疲労感の主な一般的原因および特徴(MSDマニュアル家庭版) — 原典(取得日:2026-10-26)

数値の取り方・記事の作り方は 方法論ページ に公開しています。